古代ギリシャの哲人ソクラテスは、「人は地球の高みへ、大気尽きるその果てまで昇らなければならない。その時、初めて、人は己が生きている世界を完璧に理解する」との箴言を残しました。ただ、当のソクラテスは、実際に人が宇宙に飛び出して地球をのぞき込めるとは夢にも思わなかったでしょうが。
ヴァージン・ギャラクティック社を主宰するR.ブランソン氏がソクラテスの夢を実現すべく算段を進めています。母船航空機「ホワイトナイト2」で高度10km程度まで上昇し、その後、ロケット推進系を有する「スペースシップ2」でカーマンラインを越え宇宙に達し、大きな窓から地球を臨み、暫し黙考する趣向です。地上への帰投は飛行機のような形態になり、滑空して滑走路に着陸します。現在、システムの機能性能が確認され、米国航空局の認証を得る手前まで、進んでいます。
この宇宙往還システムが完成すれば、搭乗券が一般人の手に届く範囲になるので、街を歩く普通の人が、或る日、「そうだ 京都、行こう」風に思い立ち、宇宙の高みに昇り、窓から、自分の故郷、国、地球を臨み、「自分の宇宙」を感じるのではと期待しています。