カテゴリ: 日記

 古代ギリシャの哲人ソクラテスは、「人は地球の高みへ、大気尽きるその果てまで昇らなければならない。その時、初めて、人は己が生きている世界を完璧に理解する」との箴言を残しました。ただ、当のソクラテスは、実際に人が宇宙に飛び出して地球をのぞき込めるとは夢にも思わなかったでしょうが。

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 ヴァージン・ギャラクティック社を主宰するR.ブランソン氏がソクラテスの夢を実現すべく算段を進めています。母船航空機「ホワイトナイト2」で高度10km程度まで上昇し、その後、ロケット推進系を有する「スペースシップ2」でカーマンラインを越え宇宙に達し、大きな窓から地球を臨み、暫し黙考する趣向です。地上への帰投は飛行機のような形態になり、滑空して滑走路に着陸します。現在、システムの機能性能が確認され、米国航空局の認証を得る手前まで、進んでいます。
 この宇宙往還システムが完成すれば、搭乗券が一般人の手に届く範囲になるので、街を歩く普通の人が、或る日、「そうだ 京都、行こう」風に思い立ち、宇宙の高みに昇り、窓から、自分の故郷、国、地球を臨み、「自分の宇宙」を感じるのではと期待しています。

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「宇宙が誕生して138億年経った」と宇宙啓発書は教えますが、この数字は文字通り「天文学的」で実感しにくいですね。そこで、138億年を「宇宙時間」と呼び、一年カレンダーで示すと、太陽・地球は生まれて45億年なので8月に位置します。そして、一年が終わる10秒前にエジプト・中国の古代文明が始まり、我々の一生は除夜の鐘の鳴る前の0.1秒になります。とは言え、これで、宇宙時間での太陽・地球・人の時間を量的に掴まえるのはなかなか難しいです。

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 そして、「人の寿命が0.1秒!」とガッカリする方もおられるが、宇宙時間と並べ、「人時間」の短さを思い知っていただく意図ではありません。そこで、生命科学の権威中村桂子氏発案の「生命誌絵巻」を覗いて見ると、扇の「要」が、38億年前の生命体の始まりで、扇の先端「天」が現在となります。「ヒト」は天の左端に位置して、他の生命体と同様に、38億年の歳月をかけて、現在の形態に至っていることが分かります。
 この人時間と太陽時間を重ねてみると、両者はそれほど違わない、つまり、一個人が生きる時間はなんぼのものですが人時間で見れば太陽時間と並ぶほどになります。我々、何気なく二本足で立ち、五本の指を無理なく内側に曲げモノを掴むの38億年の歳月がかかっている訳です。
 一方、現代の宇宙物理は「太陽くらいの恒星の大きさであれば寿命は100億年程度で、水素を使う核融合が終わる50億年後に赤色巨星になり、地球を呑み込むほど巨大化する。そして、もっと早い10億年後にも、水が沸騰するほど地球は熱くなる」と告げています。
50億年後の赤色巨星化なんて、私には関係ない!」と笑い飛ばす御仁が大多数でしょうが、38億年かけてヒトがやっと今の姿・形・知能水準に至ったのに、10億年後には地球が五右衛門風呂状態になってしまうのであれば、そろそろ、地球を飛び出し、もっと涼しい木星の衛星エウロパあたりに居を移すことを考え始めたらどうかなと思う今日この頃です。

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