2018年11月

 月面に初めて着地したアポロ11号でアームストロングと行動を共にしたのはオルドリンです。この写真はアームストロングが撮ったオルドリンの勇姿です。ところが、ミッション後にアームストロングの写真を探したところ、ほとんどありませんでした。オルドリンのヘルメットのバイザーに映ったアームストロングの姿が、数少ないアームストロングの月面記念写真です。
 なんでこんなことになったのか、2時間の船外活動の内に、月の石の採取や科学機器の設置など、ミッションがたくさん組まれていたので失念したとの見方もあります。ただ、オルドリンにアームストロングの写真を撮る意識が無かったことは明らかです。そして、アポロ計画にまつわる記録本を読むうちに、「誰が月面の第一歩を印すか」で、二人の間で揉めたことを知りました。まさか、これが影響しているとは思いませんが。
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 広報活動が面白くなってきた。これまでに100回を越える数になっているが、小学生、中学生、高校生、大学生、職業人、第一線を離れた方、それぞれの反応が面白い。宇宙の知識を提供するだけでなく、「宇宙は面白い」と思ってもらえるように心がけている。
 先ず、「宇宙」の由来から始める。「そして、「無重力は何か」を説明する。次に、様々な宇宙活動をなるべく身近な物事に関連付けて、「宇宙に行く、宇宙から地球を見る、宇宙を見る、ヒトが宇宙に行く」の4つに分類して紹介する。
 アリストテレスの時代から人々の関心が向いた「宇宙」。これを説き明かすために人が何を行ってきたか、これから何ができるか、一緒に考えてもらっている。
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 H-1ロケット初号機は1986年8月13日午前5時45分に打上げられました。1977年のNASDA入社から第二段エンジン「LE-5」の開発に従事していましたが、その時は科学技術庁に出向し、「国際宇宙ステーション」計画を担当していました。
 私は自宅のテレビの前にじっと座っていました。当時は、ロケットの打上げを種子島から実況中継することは無く、トラブルだけが、突然、臨時ニュースとして流される時代でした。
 1段エンジンの燃焼が終了した後に、2段エンジンが着火し燃焼が終了する間、「打上げ失敗」の報が無いことだけを願っていました。その間、心臓が激しく動悸していたのか、止まりそうであったのか、よく覚えていません。20分後、悪い知らせが無かったのでそのまま、出社したことははっきりと覚えています。
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"That’s one small step for [a ]man, one giant leap for mankind."

「私には小さな一歩だが、人類には大きな飛躍だ」とのアームストロングの第一声は、人類史上に残る言葉だと思います。また、その着陸船の脚の部分にプレートが貼られており

”Here Men from Planet Earth, First Set Foot Upon the Moon.We Came in Peace For All Mankind" 

「地球からの人類、月面に一歩を印す。全人類の平和のために」とあります。
アームストロングは、後日「このために我々は月に来た」と述べています。いやが応にも人類活動を意識させますね。

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   島秀雄氏は「新幹線をつくった男」として有名です。そして、「新幹線は事故を起こしません。そのように作りましたから」と発言しました。こんな風に己の成果を言えたらエンジニア冥利に尽きます。
 1969年、政府は日本の宇宙開発利用の実用化を喫緊の課題とし、島氏を三顧の礼を持って、宇宙開発事業団(NASDA、JAXAの前身)の理事長として招聘しました。
 一方、全く畑違いの材料研究分野にいた小生、ロケットの打上げポスターの迫力に惹かれて、「宇宙で何か新しいことを見つけてやる」と意気込んで、1977年に、NASDAに入社しました。その入社式で、島理事長は「宇宙開発には最新の技術は必要無い、枯れた技術で確実に機能するシステムをつくる」と訓示され、「最先端の宇宙科学をバリバリと」などと考えていた小生に冷水を浴びせてくれました。「しまった! こんなところに入るじゃなかった」と本気で思ったのですが、その後、ロケットエンジン、宇宙実験、有人宇宙活動と40年間勤めて、島理事長の言葉は正しかったと思い知りました。

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NASAも同じようなことを言っています。「Technology Readiness Level」「この技術は使えるか?」と解釈していますが、温度計の図に合わせて、TRLの低い順に、

① 新しいアイディアの着想段階
② アイディアをどのような形で何に応用するか明確に
③ 実際の形状や環境条件での要素試験、要素を組合わせたサブシステム実証試験
④ - ⑤ 段階的に機能・性能を確認してレベルを向上
⑥ 地上でのシステムとしての技術成立性の確認が完了
⑦ 実環境、つまり、飛行試験の段階
⑧ 性能の再現性と耐久性能を認証して、開発完了
⑨ 実運用段階

段階を踏んで、確実に宇宙機器の完成度を上げ、満たされなければ、上の段階に進めない。
 「宇宙」は、100回やって、99.7回の成功を求められる世界です。洋の東西を問わず、考えることは同じですね。

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